rompercicci::diary

東京中野にあるコーヒーお酒ジャズのお店ロンパーチッチ

惨敗、木村政彦、それからスムースジャズ

本日は貴重な貴重なご来店まことにありがとうございました。目に見えない魔法陣でも描かれてしまったのでしょうか、店の周りに強力な結界が張り巡らされた模様で、終わってみれば今年いちばんの負け戦、近ごろ類を見ない大惨敗を喫した1日になりました。
お天気いまひとつ、街行く人影も終日まばらでしたが、まさかここまで動きがないとは。明日には魔法陣が消えてくれていることを祈るばかりです。
本日おいでくださった数少ないお客さまにとてもよいことがありますように。

昨日換気扇の大掃除を断行して、時間切れで手つかずに終わったレンジフードの磨き掃除、こういうヒマな日こそやらねばと思いつつ、いまひとつ興が乗らずにグズグズとすごす午後。読書への逃避。昨日買った『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』がいやに捗ります。
日本中が街頭テレビのプロレス中継に熱狂していたあの時代、全国民の注目を集めた力道山との世紀のシングルマッチで、突然の力道山のだまし討ちによって流血KOに追い込まれた史上最強の柔道家木村政彦。柔道の現役時代には「負ければ腹を切る」ほどの覚悟で試合に臨んだという彼が、衆人環視の前で恥をかかされながら、なぜ力道山への復讐を遂げなかったのか。なぜ力道山を殺さなかったのか。なぜ力道山を殺して、しかる後切腹しなかったのか。文庫本の帯には百田尚樹センセイの推薦文が踊るだけあって、なんとも強烈な本ではあります。
“生き恥をさらしたまま苦しみに満ちた後半生を送るくらいなら、ひと思いに相手を殺して、自らも自裁して果てるべきではないか”という問いかけを、ごく素直に世の中に提示できてしまう、この現代という時代の無邪気さが怖い。

ところでこの本を買ったのは恥ずかしながら新宿のブックオフ。昔マルイで、今はスーツカンパニーが入っているあのビルの6階。昨日はそこから徒歩1分のガストに入って、ハッピーアワーのビールをすすりながら最初のページをめくったのですが、実際のところ本どころではありませんでした。BGMのスムースジャズがあまりにすごくて。いつもなら意識の端にも上らずに耳から耳へと抜けていくあの音楽が、昨日に限ってえらく脳髄を刺激して、思わずスマホに聴かせて曲名を調べてしまいました。

このあたりの音楽がずっと流れているスムースジャズ喫茶ってどうなんだろう、と思ったんですが、いや、それを言ったらここガストをはじめ、世界中のたいていのお店がスムースジャズ喫茶ってことになりますね。

今日もなにやらごちゃごちゃしました。このへんで失礼します。
明日はぜひとも、ご来店よろしくお願い申し上げます。心よりお待ちしております。