rompercicci::diary

東京中野にあるコーヒーお酒ジャズのお店ロンパーチッチ

ジャズ喫茶のマスターは「おかわり」をすすめるべきか

昨日もご来店ありがとうございました。降っても晴れても見晴らしのいいこの店内。もはや雨のせいにはできないこの展開。世界が終わっても気にすんな、オレの店は空いている。
おいでくださったお客さまにスーパーによいことがありますように。

店頭の書棚において早1週間、気がつけば毎日どなたかが熱心にお読みになっている本『バーのマスターは「おかわり」をすすめない』(写真の左側)。渋谷で開店して20年を迎えるワインとボサノヴァのバーBar Bossa店主の林伸次さんによる、飲食店経営ハウツー本の名を借りた「何か面白いコラム集」です。
飲食店で働く人にとっては「今日から役に立つ仕事のテクニック」が書かれていたり、共感度満点の「お店で困っちゃうあるある」が書かれていたりします。なおかつその「困っちゃうあるある」の解決策まで書かれていたりして、人によってはもうそこ読むだけでメンタル救済、その2ページのために本お買上げ、明日からコレ指針に生きてくわ、みたいなレベルのことがサラッと載っていたりします。
飲食店のお客さまにとっては「お店でのスマートなふるまい方」からはじまって、「よいお店の選び方」「東京の街ごとのお店あれこれ」、ちょっと飛ばしたところでは「SNS時代のメンタルの保ち方」みたいなことまで書かれていたりします。それぞれが「お店やってる自分としてはこう思います」って視点で書かれていて、読んでいて新鮮な発見があると思います。
私たちのような小さい飲食店の経営者にとっては、もうドンピシャな内容がてんこ盛り。お客さまの目に触れさせるのは粋じゃない、とやんわりタブー視されてきた「お店側の言い分」を(若干おずおずと)紙上に展開しつつ、その言い分に固執するお店側の人間にもやんわりとクギを刺しつつ、全体最適へと向かうお店の姿はどうあるべきだろう、ということもサラッと書いてあります。「お客さま側も、お店側もどちらもハッピーになる落としどころはどこだろう?」というセンテンスにグッと来ない人、この業界にはいないんじゃないでしょうか。

とりあえずどこかで手に取る機会があれば、最初の数ページだけでも目を通して頂きたい本です。そこから何か始まる方も絶対いらっしゃることでしょう。ウチにも置いてあります。よろしければ。
それから、帰り際に「この本とても面白いですね。また続きを読みに来ますね」とおっしゃるお客さまが結構いらっしゃって(本当です)、それはそれで当店としては大変ありがたいのですが、えーと、読破された暁には記念にご購入なさることをやんわりとオススメ致します。手許においておけば、いつか人生変わったときに役に立つかもしれませんよ。
同じテーマで書かれた林さんの第1作『バーのマスターはなぜネクタイをしているのか?』(写真の右側)もあわせてぜひ。こちらの本は「どうしてもいやなお客さまの入店をお断りする方法」という超絶テクニックが書かれている、というその1点だけでも世紀の殿堂入りまちがいなしの名著であります。

それから、同じ著者さんはつい数ヶ月前にこんな本も出してらっしゃいます。こちらはベッタベタの恋愛コラム。いつの日か林さんが功成り名遂げて文壇に名を馳せるようになったらまっさきに黒歴史化されそうな本。今のうちに読んでおきましょう。

うわー、秋晴れ。今日もお待ちしております!