rompercicci::diary

東京中野にあるコーヒーお酒ジャズのお店ロンパーチッチ

荻窪良店訪問記

お寒うございます。夏を思わせる外の陽射しとはうらはらに店内見事に底冷え、コート羽織ってなおガクブルの営業成績を頂戴しました。昨日エアコンの掃除したからってそこまで冷えることないのに。今夜は泣きぬれてカニと戯れます。
ご来店くださった貴重なお客さまには感謝の言葉もありません。みなさまにすばらしいことがありますように。

今日がこんなアイタタなことになるとはつゆ知らず、昨夜の自分は荻窪駅前でいい気になって飲んだくれていたのですが、そこから遡ること数時間、まだアルコールが入っていない時点で以前から気になっていた近隣のお店ふたつに初訪問したのでした。

まずは中古レコード店《月光社》さん。中央線下り電車が荻窪駅に着く手前に車窓からお店が見えるのでご存じの方も多いはず。そのあまりに味わい深い外観ゆえに近著『東京レコ屋ヒストリー』ではお店の写真がそのまま表紙に使われています。車窓からは何十回も姿を拝みつつも、実は今まで足を踏み入れたことがなかったお店、前掲の本を読んだこともあって、いよいよ機は熟したとお邪魔してみました。
ギュッと詰まった店内は在庫の半分以上がクラシック。ただジャズの棚もちゃんとあります。全体的にお安めの価格がうれしい。背中に電流が走るような掘り出しものこそ出会えませんでしたが、「何か1枚買わないと出られない(個人レコ屋での自分ルール)のに、何も買えるものがない」という地獄には直面せずに済みました。というより、この相場なら地獄展開はめったになさそう。安心して入れるお店でよかった。
今日の収穫は2枚。店番されていた若店主に今回が初訪問であること・今までなかなか機会がなかったけど『東京レコ屋ヒストリー』を読んで踏ん切りがついたことを伝えました。「うわ、恥ずかしい」というお返事。よいお店です。

次いで青梅街道を北西に歩くこと10分超、四面道のゴチャゴチャした交差点を越えた先にあるのが《本屋 Title》さん。いろんなところで評判になっているお店。今この時代に個人の新刊書店ってどうなんだろう、というゲスい興味まる出しで伺ったのですが、いやこれはまいった、よいお店。本当に街の本屋さんくらいの売場面積なのに、いちいち並んでいる本が気が利きすぎててブラウジングが終わらない。
中でも個人的にズキュンと来たのがマール社のカラー文庫。ああこれ、オレが前世紀末に書店員バイトやってたときにいつも不思議に思ってたやつだ。なんだか知らないけど異様に安くて。オールカラーの文庫本が当時で300円くらいだったはず。今はどうなっているのか、と裏返してみたらまさかの本体価格291円。まったく変わってない! 思わず並んでいた『世界装飾図』IIIを手にとってそのままレジに向かおうかと思いましたが、いや待ていくらなんでも『世界装飾図』はオマエ必要ないだろう、と思って、代わりに買ったのが『せんべろ女子隊 酒場探訪記』。へー、こういう脇が甘い本もちゃんと揃えてるんだー、と思ってつい立ち読みを始めたら止まらなくなった。これはすごい本なのかもしれない。奥付見ると2012年11月初版第1刷で、その後増刷の実績なし。お世辞にも広いとは言えない売場面積に合わせて女子向け酒場本を1冊だけ選ぶ、そのときに決してブレイクしたわけでもないこの女子せんべろ本をチョイスするあたり、やはり店主の目利きは相当にすごいのかもしれない…と若干ズレたところで感心することしきり。

ついでに中ザワヒデキ『近代美術史テキスト』も購入。この本、初めてお目にかかってからもう20年くらいだよ。まだこの体裁でやってるのか。「いつか機会があれば買おう」と思い続けてたけど、きっと今日がその「機会」なのだろう。しかし、いくらなんでもロングセラーすぎないか?

と、そんな定休日でありました。ごめんなさいオチはありません。

ああ、でももう少しマール社カラー文庫について思いのたけを語りたい。なんでこんなに安いのか。ひょっとしてすごい土地持ちか何かが税金対策でやっている会社で、商売のこととか全然考えてないのか。疑問に思って実際レジで店主さんに質問したのです。いや、これ以外の絵画技法書とかは普通の値段してるから、極端に安いのは文庫だけ。なぜ安いのかはちょっと分からない、いやでも安いですよね。ときどき売れるんです。とのお返事でした。
もうちょっと深追いして検索かけてみると、マール社さんのFacebookページに下の投稿を発見。

https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=578667735527642&id=431416646919419

へー、なんとかなっているんだ。えらいなー。
このマール社カラー文庫の中には浮世絵がオールカラーでひたすら載ってるシリーズがあるのですが、これは外国人観光客の手軽なジャパネスク土産としてかなりオススメできる逸品なのです。

…また書きすぎているうちに収拾つかなくなってきました。今日はこれで失礼します。
寒さとは明日でオサラバしたい! みなさまのご来店を心よりお待ちしております。