rompercicci::diary

東京中野にあるコーヒーお酒ジャズのお店ロンパーチッチ

改めて、ヘッドホン・イヤホン使用禁止のお願い

当店では、お客さまに店内でのヘッドホン・イヤホン類の着用をご遠慮頂いております。
理由は「私たち店員のモチベーションが下がるから」です。
決して「周りのお客さまの迷惑になるから」ではありません。
店内での喫煙や通話、大声でのおしゃべりといった行為とちがって、店内でイヤホンを着用したところで(それが音漏れでもしていない限り)他のお客さまに直接的な迷惑がかかるということはまずありません。
ですから、このお願いは完全に私たちのワガママです。
どうか、私たちのワガママを聞いてください。
お願いです。店内でヘッドホンやイヤホンを使用しないでください。

私たちの言い分はこうです:
ここは音楽のお店です。
音楽のお店なのに、中にいるお客さんがイヤホンをしていたら、お店の雰囲気が悪くなってしまいます。

お客さまはおっしゃいます:
「お店の雰囲気」ってなんなの? それに、雰囲気の良し悪しはあなたが決めることなの?
私にとっては、店内で客が自由に振る舞えるお店の方がずっと雰囲気が良いと思うんだけど。

こういう本音もあります:
私たちは店内でWiFiを開放しています。お客さまが店内でパソコンを使っていて、その上イヤホンまで着用されてしまうと、そこがまるで自分の部屋のような感覚になってしまって、好き放題されてしまいます。そして、いつまでも居座られてしまいます。商売あがったりです。

お客さまはおっしゃいます:
WiFiを開放した時点でそこは折込済みでしょ? それがいやならWiFiの開放なんてしなきゃいいのに。

覚えておいでのお客さまもいらっしゃるかもしれません。私たちも最初の1年半くらいはヘッドホンやイヤホンについてうるさいことを言わず、お客さまに自由にお使い頂いておりました。その結果、店にはイヤホンを着けながらパソコン作業をなさる、いわゆるノマド族の方が常にいらっしゃる状態になりました。そもそものお客さまが少なかったので、とにかく来て頂けるだけで感謝でした。「音楽を無理強いするなんてとんでもない!」という気分でした。
それから時間が経って、私どものお店が音楽愛好家のみなさまに多少なりとも認知されるようになってから、この店の雰囲気はどうもおかしい、やっぱりちがう、と感じるようになりました。巨大なノイズキャンセリングヘッドホンを装着して店に現れて、店内の電源コンセントを勝手に使ったまま3時間粘り倒すようなお客さまが登場しだしてから、もはやこれを続けるわけにはいかない、と思うようになりました。
あるとき、店内は私とその「巨大なノイズキャンセリングヘッドホン」のお客さまのふたりだけになりました。2時間以上、ずっとふたりきりでした。私はヘッドホンを着けているお客さまのためにレコードを替え続けました。彼はスピーカーに背を向けて、せっせとパソコンのキーを叩いていました。私はノイズか、とそのとき思いました。
それでもう、ヘッドホンはご遠慮頂くようになりました。
イヤホンも同じく。
たくさんのお客さまが離れていきました。中には「このお客さまだけは見なかったことにしてあげたい」「イヤホンを使ってもいいから、このお店から離れないでほしい」という方もいらっしゃいました。でも、この人だけOKで、この人だけNG、というわけにはいきませんでした。当店オープン以来、いちばんたくさん来てくださって、いちばんお金を使ってくださったお客さまも、そのとき失いました。

私たちは、店内でヘッドホン・イヤホンを使ってほしくありません。
どうか、私たちのワガママを聞いてください。
それがダメなら、どうかよそのお店さんに行ってください。
本当に、よろしくお願いします。

最後になりますが、本日のご来店まことにありがとうございました。
雨の中いらしてくださったお客さまに格別のよいことがありますように。
こんなことを書いておいて言えた義理ではないかもしれませんが、日曜日もみなさまのご来店を心よりお待ちしております。

取り繕うかのように今週の新入荷レコードを。写真だけで失礼します。