rompercicci::diary

東京中野にあるコーヒーお酒ジャズのお店ロンパーチッチ

★1ヶ月以上も前の旅行記を今になって書く

こんにちは。中野の自称ジャズ喫茶ロンパーチッチです。
いつもありがとうございます。
10月に入ってからも相変わらず「やばい日」が続いていますが、そんな中ご来店下さるお客様には本当に感謝しております。おかげでなんとか生きてます。


10月05日に他界された岩浪洋三さんのご冥福をお祈り致します。
生の岩浪さんとの接点はこれっぽっちもありませんでしたが、国内盤の中古レコードに封入されているライナーノーツを通じて、「岩浪洋三」の名前とは日常的に触れ合ってきました。今までも、そしてこれからも、国内盤の中古ジャズレコードを買えば、そこには必ずと言っていいほど「岩浪洋三」の署名が入ったライナーノーツが同封されていて、その気になればいつでも彼の文章を読むことができる。こじつければ、レコードを買う生活を続けている限り、私たちにとって岩浪さんはリアルタイムの書き手として生き続ける存在なのだと思います。

…と、ここまで妙に歯の浮くようなことを書きましたが、実際のところ岩浪さんのライナーノーツはほとんど読んでいない、というのが私たちの偽らざる実情です。よくある表現を使えば「私たちは彼の良い読者ではない」または「彼の仕事を正当に評価する視点をまだ持ち合わせていない」というところになるでしょうか。再度こじつければ、私たちにとって岩浪さんは「生き続ける以前に、まだ生まれていない存在」ということになります。
いつの日か手持ちレコードのライナーノーツひとつひとつにじっくり目を通すことで、岩浪洋三さんを私たちの世界に誕生させ、その真髄に接することができたら、と思います。


さて、一関ベイシーに訪問した話でした。もう1ヶ月以上も前の話になります。
何から書けばよいか、何を書けばよいか、考えあぐねているうちに時間だけがすぎてしまいました。
ここは思い切った反則技として、まずは「滞在中にかかったレコードリスト」を載せてしまおうと思います。

◎2012/09/03 一関ベイシーのプレイリスト

01. ART PEPPER / The Way It Was
02. HERBIE HANCOCK / Maiden Voyage
03. FRANK SINATRA / Live At The Sands
04. TOMMY FLANAGAN / Super Session
05. SARAH VAUGHAN / Hang Your Hat At Mister Kelly's
06. NINA SIMONE / Little Girl Blue
07. CHET BAKER / Chet
08. JOHN COLTRANE / Standard Coltrane
09. ZOOT SIMS / Goes To Jazzville With
10. ART PEPPER / Art Pepper Plus Eleven
11. THAD JONES - MEL LEWIS / Monday Night
12. COUNT BASIE / Count On The Coast Vol.2
13. DULE ELLINGTON / The Great Paris Concert

1年ぶり、通算で4、5回目となる訪問でしたが、出てくる音は相変わらずすばらしかったです。大きくて、迫力があって、明晰で、分離が良くて。
以前「どこの音が似てるかな?」とぼんやり考えたことがあったのですが、自分の記憶の中でいちばん近かったのは新木場スタジオコーストのアリーナの音でした(なんだか比較対象を間違えている気もしますが)。
今回はお店に入って2枚目にかかったハービー・ハンコックの『処女航海』がすごかった。(言わずもがなだけど)ウチとは全然違う! テナーの位置とトランペットの位置がここまでハッキリくっきり分かれているとは!
それ以降は私のアタマの中で何かのスイッチが入ってしまったらしくて、

1. 自分が持っているレコードについては、音の違いに驚いて、家で手持ちの盤を聴き直してみたくなる。

2. 自分が持っていないレコードについては、実体以上によいものに思えて、所有欲が猛烈にかき立てられる。

このふたつの条件反射を繰り返すだけで時間がすぎていってしまいました。

※完全な私見ですが、「よいジャズ喫茶」と「あんまりパッとしないジャズ喫茶」との違いって、上記の 2. の刺激をどれくらい与えてくれるか(どれほど物欲喚起的であるか)にかかってくるところが大きいのかな、と思っています。
じゃあオマエたちの店はどうなのか、と言われてしまうと、今のところはゴメンナサイとしか言えないのが残念なのですが…(長い目で見てやって下さい。成長するはずです、たぶん)。


【さて、訪問記の続きとして、この後ちょっと失礼で批判めいたことを書いたのですが、その批判が全面的に自分たちの店にも当てはまってしまうことに気づいて慌てて自主規制。えーと、ものすごく大きな声でしゃべるお客様がいらして、それが気になった、という話なのですが、そういうお客様はやはり当店にもごく稀にいらっしゃいますし、店としてそういう方にひとこと申し上げるかどうかはすごーく難しいところなので、同業者の端くれとなった今ではそんな無邪気な批判はとても書けないな、と思い直した次第で…】


ええと、上の自主規制の部分をどう決着させようか、アタマの中でぐるぐる考えているうちに訪問から1ヶ月をとうにすぎ、もはや記憶も覚束ないありさまになってしまいました。
予告までして引っ張っておきながら締まらないこと夥しいですが、訪問記はこのへんで終わりにしたいと思います。

最後に、よそ様のプレイリストだけ公開して知らん顔しているのもあまりに失礼なので、不肖当店もある日のプレイリストを晒しておきたいと思います。
こんな感じのレコードをかけております。

◎2012/09/16 ロンパーチッチのプレイリスト

01. KENNY DORHAM / Matador
02. WYNTON KELLY / Live At Left Bank Jazz Society 1968
03. TONY BENNETT / In Person!
04. JEAN PHILIPPE BLIN / What Matter Now?
05. CECIL PAYNE / Zodiac
06. JAMES WILLIAMS / Images
07. CHARLES MINGUS/ East Coasting
08. DIZZY GILLESPIE / Swing Low, Sweet Cadillac
09. FRANK WESS/ Yo Ho! Poor You, Little Me
10. BOBBY TIMMONS / Trio In Person
11. DONALD BYRD / Byrd's Eye View
12. SONNY ROLLINS / East Broadway Run Down
13. THE HI-LO'S / And All That Jazz
14. MAURICE VANDER / Jazz At The Blue Note
15. BILL PERKINS - RICHIE KAMUCA / Tenors Head On
16. MCCOY TYNER / Tender Moments
17. EDDIE LOCKJAW DAVIS - JOHNNY GRIFFIN / Griff And Lock
18. JIM HALL / Live!
19. GIANNI BASSO - OSCAR VALDAMBRINI / Walking In The Night
20. PETE LAROCA / Basra
21. DIZZY GILLESPIE / Bahiana
22. RAMSEY LEWIS / Hang On Ramsey!
23. LOU DONALDSON / Quartet Quintet Sextet
24. MILT JACKSON - RAY BROWN / Montreaux '77
25. TONY WILLIAMS / Foreign Intrigue
26. GEORGES ARVANITAS / Cocktail For Three
27. JOE HENDERSON / In Pursuit Of Blackness
28. ANTHONY BRAXTON / In The Tradition Vol.2
29. HELEN MERRILL / In Tokyo
30. JEREMY TAYLOR / Reggae Interpretation Of Kind Of Blue
31. RED HOLLOWAY / Cookin' Together
32. DUKE ELLINGTON / The Great Paris Concert
33. TOMMY FLANAGAN / Eclypso
34. JOE WILDER / Wilder 'n' Wilder
35. J.R. MONTEROSE / Body And Soul
36. LOREZ ALEXANDRIA / Alexandria The Great

それでは、皆様のご来店を心よりお待ちしております。

※写真は深夜バス到着後、ベイシーの開店時間まで長時間滞在したおとなり平泉の温泉施設の待合室です。すばらしい。