rompercicci::diary

東京中野にあるコーヒーお酒ジャズのお店ロンパーチッチ

本の話をくどくどしく

本日も貴重なご来店まことにありがとうございました。梅雨空吸って安定の3連敗。ただ最近は1日におひとりさまくらいの割合でエイッと資本投下してくださる神さまのようなお客さまがいらっしゃるおかげで、なんとか絶望を免れています。神さまの出現に頼らず生きていくのが理想ですが、そのためにはもう少し無人島期間が短くならないと。うーん。…神さま、今しばらくよろしくお願いします。そしてみなさま、梅雨どきもどうぞよろしくお願いします。
本日ご来店くださったみなさまにすばらしいことがありますように。

最近は妻と私でまるっきり別の本を読んでいるのですが、先日たまたま妻が手持ちの本を読み終えてしまったらしく「そっちに何かある?」とのご質問。うーん、次に読むつもりで買ったけど、現在格闘中の『誘拐の知らせ』がもうちょっとかかりそうだから、それじゃあ先にこちらをどうぞ、と差し出したのが、植本一子『かなわない』。新刊で出たときに、なぜか軽めのフォトエッセイだろうと思い込んで手を出さずにいたのですが、それが先日荻窪Titleさんで現物を見かけて、立ち読みしたら衝撃。これって『働けECD』の続編じゃないか! その場で手に取ってレジに直行しようとしたものの、いや待てよ、たしかこの本、高円寺のAmleteronさんに行けば著者サイン本が置いてあるんじゃなかったっけ、と思い直してグッと我慢(Titleさんゴメンナサイ、別の本を買ったから許してください)。日を改めて高円寺まで自転車飛ばして無事ゲットとあいなった本書、ほぼ全頁2段組のボリュームのせいか、遅読で鳴らした私に比べてよっぽど読むのが早い妻でもそれなりに時間がかかって、やっとこさ本日読了の運びとなりました。さあ、次は私の出番だ、と言いたいところですが、私の方はつい先日『誘拐の知らせ』を読み終えてしまって、そしてとうとう手を出してしまったのが『カラマーゾフの兄弟』。毀誉褒貶の激しい光文社の新訳版。古本案内処さんでずいぶんとお安かったので、ついうっかり手を出してしまったのが3ヶ月ほど前。このまま積ん読で腐らせてもよかったのですが、なぜか自宅で目についてしまったのが運の尽きで読み始めてしまいました。たしか高校生のころ、角川文庫か何かで読んだなあ。もうほとんど覚えてないけど、何かこう、ありがたいものを読ませて頂いた、みたいな気持ちになった記憶だけはある。えーと、たしか女の人がいちばん上のお兄さんにお辞儀をしたのがすごく感動的だった、とお兄さんがくどくどしく回想する場面と、それからえらいお坊さんが亡くなった後、死体がものすごく臭くなった場面と、それから最後に何か裁判みたいなのがあって、物語の語り手がそこで突然姿を現して「え、ここでかよ!?」みたいな衝撃を受けたところ、それだけは覚えてる。あ、それから同じ登場人物なのに名前が何種類もあってすぐに意味不明になったことも覚えてる。――そんな状態で読み始めたのですが、いや、新訳すごい。何がすごいって意味が分かるところがすごい。昔の翻訳は絶対もっと意味不明だった。それからアレだ、新訳は意味が分かりすぎて全然ありがたくない。意味不明な旧訳の方がもっとずっとオーラがあって、「オレは今、世界を代表する名著を読んでいる」みたいな気持ちになったものだった。
と、ここまで散々ダラダラと書いたところで何が言いたかったのかというと、私が『カラマーゾフ』と格闘している間、『かなわない』をずっと自宅に隠匿しているのもケチくさいので、今の時点でお店の本棚に並べます、ということでした。ご興味おありの方、お手にとってご覧くださいませ。

…上の文章を自分で読み返してウンザリしましたが、でも消すと書き直さないといけないので消しません! ブログの恥は書き捨てで失礼します。
明日もお天気パッとしない予報。スメルジャコフといっしょにみなさまのご来店をお待ちしております。